この記事では、まったくの未経験だったドラムという楽器に50才で挑戦した、普通の主婦の心の変化をまとめました。
ドラムをやってみたいな~と思ったり、他の楽器や趣味に挑戦してみたいと思っている人の参考となれば嬉しいです。
目次
これまでの楽器歴
- エレクトーン
- リコーダー
- ハーモニカ
- ピアニカ
- ピアノ
私の楽器歴は、学校の授業で習う楽器+エレクトーン、ピアノくらいです。
打楽器はもちろん、ギターなどの弦楽器もやったことはありません。
もちろん、周りにドラムをやっている人もいませんでした。
最近よく言われるのは、ドラマーには昔エレクトーンをやっていた人が多いということ。
両手両足をばらばらに動かす点が共通しているからだそうです。
「子供の頃エレクトーンを習ってました」というと、ドラマーあるあるだよね!っとよく言われます。
でも、私の動機には全く関係ありません。
ドラムを始める頃に思っていたこと
私は自分の50才という年齢に、とても強く壁を感じていました。
ドラムという楽器は、私にとっては未知の世界のもの。本物のドラムセットを見た経験すらなかったので。
そんな世界に、推しがバンドマンだからという理由だけで足を踏み入れてよいのか。
50才から全く経験したことがない楽器に挑戦して、やって良かったと思えるくらいの技術を身に付けることができるのか。
やり始めたはいいけど、難しすぎて早々に挫折することになったらカッコ悪いし・・。
自分のやってみたいと思う気持ちとは裏腹に、頭の中に浮かぶのはネガティブなことばかり。
50才という年齢は、自分が思っている以上に新しいことへ挑戦するハードルを上げ、「失敗したらやり直す時間はあまりないよ」と、自分にささやき続けていました。
自分に言い訳をして始める
迷い続ける事半年。更に時間は経過し年齢は積み重なっていきます。
でもその間も、手に入らないと思うとますます欲しくなるという、ない物ねだり敵な心理状態は加速し続けました。
そして最終的に、私は自分に言い訳を作りながら近所にあるヤマハ音楽教室に行くことを決めたのです。
その言い訳とは「ドラムを習っていることを誰にも言わない」でした。
夫にも親にも友人にもです。
なぜかというと「やっぱりおばさんがドラムに挑戦してもダメだった」というイメージを残したくないと思ったからです。
誰にも言わなければ、自分の中だけで「ドラムをやりたかった自分」を完結できると思いました。
始める前からこれですもの。上手くなるはずがありませんね(笑)
でも本当に自分に自信がなかったんです。
幸い私たち夫婦は子供も巣立った熟年夫婦なので、今更お互い干渉はし合いません。
私はフルで働いているし、自分の事は自分の働いたお金で賄うことになっていたので、今でこそたまに夫とドラムの話をするようになりましたが、2018年12月から2022年5月までの間、私が月に3回ヤマハに通っていたことは夫は今も知りません(笑)
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1曲叩けるようになったら十分!
ヤマハ音楽教室に入会手続きをする時、私はまた一つ自分に言い訳を作ります。
それは、「推したちの楽曲を1曲叩けるようになったら大成功!」でした。
この目標を達成できれば、いつ辞めても良いとさえ心のどこかで思っていたほどです。
今思うと、本当に自分に甘い人間です。
私がちょっとだけ恵まれていた点は、エレクトーンを習っていたので楽譜を読むことができたこと。
ヤマハでドラムを習い始めて数か月した頃、推しのバンドのドラム譜(初心者用簡単バージョン)を取り寄せて、見よう見まねで叩いてみました。
ご本家のドラマーが演奏している半分以下の手数だし、正直曲のイメージはちょっと違うものになっていたけど(笑)、それでも憧れていて聴いていた曲に合わせてドラムを叩いているのは、50才の壁に負けそうになっていた自分でした。
楽しい!
原曲を聴きながらドラムを叩き、憧れのドラマーと同じタイミングでシンバルを慣らすことができた時の感激は、一生忘れないと思います。
これがドラムを始めた私の、初めての成功体験でした。
50才という年齢に言い訳を作りながら始めたドラムでしたが、そこから得ることができたものは、皮肉にも、何かを始めるのに年齢は言い訳にならないということでした。
そして、1曲叩けるようになれば十分だったはずの私のドラム愛は、自分でも想像もしない方向へ歩き出すことになったのです。
みんな思っている、と思った
私は推しへの愛を叫ぶために2018年の夏ごろからInstagramを利用していて、そこで繋がっているファンクラブのお友達がたくさんいます。
2020年に入り私のドラム生活も安定してきたので、初めてInstagramでドラムをやっていることを呟いてみました。
すると「私ベースやってます!ピアノやってます!ギターやってます」「バンドやるなら誘ってください」とたくさんのコメットが寄せられました。
そして更に、コロナが蔓延しておうち時間が増えたことで自宅で楽器を始める人が増え、推しがバンドマン故に、私はファンクラブのお友達の中でも楽器をやっている同世代の人との交流が増えていきました。
そのような交流の中で感じたことは、楽器を趣味でやっている人の多くは、実はバンドやセッションをやってみたいと思っている人がそれなりの割合でいるということです。
そして、同世代の人は思っていてもそれを口に出すことがなかなかできない、自分の年齢を考えると言い出しにくいと思っているということでした。
なんちゃってバンドが気付かせてくれたこと
ちょうど世の中はStay Homeの時期。
TVでは有名人が各自宅から演奏している姿を画面上で合わせたリモート演奏をして、視聴者を励ましてくれる場面をよく目にするようになりました。
その頃、Instagramで交流している人が「みんなが家で録音した音をアプリで合わせる事ってできないかな?」と言い出したのを切っ掛けに、アプリを駆使して作った演奏動画をSNSに公開する「なんちゃってバンド」が生まれ、私はこの架空(?)のバンドで初めて自分が叩いたドラムの音を誰かに聞いてもらう、という経験をすることになりす。
それまではイヤフォンで聴く音源に合わせながらドラムを練習していたので、もともと出来上がっている音楽にドラムを合わせるだけでした。
でもこのなんちゃってバンドは、自分たちの弾いた楽器の音を合成して一つの曲を作っていたので、アプリを介してではありますが演奏しているのは自分たちです。
自分たちだけの音だけで、音楽を作る初めての経験でした。
参加者は全員主婦でしたので録音機材などはあるはずもなく、録音方法は自分の携帯で演奏している姿を動画撮影しただけのもの。
でも出来上がったものはまさに「演奏」で、ちょっとしたバンド気分を味わうことができ、目の前にお客さんがいる訳ではないのですが、演奏動画を見てもらいコメントを寄せてもらうことが嬉しくて、2020年5月頃からから2023年3月頃程までの間、たびたび動画を作っては公開をすることを行いました。
悔しい経験がある思いを芽生えさせる
なんちゃってバンドはアプリで動画を合成させてSNSに公開するかたちで活動していたので、どこに住んでいても参加ができることが魅力のひとつでした。
それとは逆に、当たり前ですが実際にバンドをする時のメンバー同士のあうんの呼吸とか、心を通わせ合いながら演奏することはできません。
テンポや音量なども、ある程度アプリで調節できてしまいます。
私はこのような経験をしていく内に、実在するバンドへの憧れを抱くようになっていきました。
実際に人間同士が楽器を鳴らして合って演奏するって、どんな感覚なんだろう・・・。
そしてつてを探し、はじめは知り合いの知り合いたちが集まったバンドに参加させてもらいましたが、一度だけ練習に参加させてもらっただけでこのバンドは自然消滅。
次は自ら志願して新しくスタートするバンドに参加するも、実力が足りないと判断されてクビ。
現実を突きつけられた瞬間でした。
3年ほどヤマハでレッスンを受けたものの、その後は曲に合わせてドラムを叩いてアプリで音を合わせる事しかしていなかった私に、バンドのドラマーができる器など全く育っていなかったのです。
身の程知らずにも程があるとはこのことで非常に恥ずかしい話ですが、この経験は私を次のステップに導いてくれる切っ掛けとなります。
自分のダメさを自覚した瞬間、私にやっとある思いが芽生えたのです。
上手くなりたい!実力のあるドラマーになりたい!
バンドで活躍できる、憧れのあのドラマーのようになりたい!
私にやっと上達への欲が生まれました。
ここに辿り着くまでに要した時間はなんと5年以上。
50才でドラムを始めた私は55才になっていました。
誰かのために叩くドラムがあることを知る
そして今、私はなんちゃってバンドのメンバーで関東在住の仲間とバンドを結成して活動をしています。
平均年齢約54才。全員バンド未経験者です。
それでも小さな目標に向かって、月に1.2回の練習をする度に少しずつ力を付けていっています。
初めからカッコよくキマッテいるバンドは最高ですが、毎回悪戦苦闘しながら成長していけるバンドも全員が同じ方向を向けているなら有りです。
実力が無い私には、一緒に成長していける仲間が必要でした。
でもこんな私ですが、バンドではみんなのまとめ役。これもドラマーあるあるでしょうか?(笑)
演奏ではドラムでみんなのテンポをいざない、演奏以外では話をうまくまとめる役目に自然と落ち着きました。
自分に言い訳をしながら始めたドラムは、5年という時間をかけてこんな風に私を成長させてくれました。
今の私はバンドを支える演奏ができるように実力を付けたいと思っています。
自分さえ楽しめれば良いと思っていた私が、みんなの演奏を生かせるドラムを叩きたいと考えるまでになりました。
誰かのために叩くドラムもあるということを、やっと知ることができる場所まで辿り着くことができたのです。
私にも、まだ新しい世界を知る余力は残されていました。
これも挑戦しなければ知らずに終わっていたことです。
まとめ
この記事では、ドラムを始めてから5年間ほどの私の心の変化をまとめました。
これから先、あとどれだけドラムのスキルを上げられるかは分かりませんし、今もそんなにうまくもありません。
でも、人に隠しながら50才で始めたドラムが、今ではこうしてブログで発信できるほどのストーリーを与えてくれました。
年齢的に言えば身体機能や精神面、どちらを考えても緩やかに衰退していく世代に差し掛かっています。
それでもまだしぶとくドラムがうまくくなりたいと思うし、まだ頑張ることができるのは、きっとドラムという楽器がもつ存在価値が自分にピッタリとはまるからだと思っています。
ドラムは前面に出ることはほとんどありません。単体ではリズムでしかありません。
でも、仲間と出会った時の存在感は全てに影響を与える程のパワーをもちます。
自分が崩れたらみんなが崩れます。
前に出ることはないけど、こんなに存在価値がある楽器ってあまりないと思いませんか?
例え方が変ですけど、もしドラムが人間だったら、こんな生き方をする人ってすごくカッコいいと思うんですよね。
きっと私はその人に憧れると思います(笑)
そんなドラムに関われている自分が今では好きだな~と、思うようになってきました。
私が出逢ったのはドラムでしたが、他の楽器にもその楽器がもつ魅力が必ずありますよね。
もし同世代の方で、もう年齢的に新しいことは無理かも・・と迷っている方がいたら、やってみる選択をすることをおすすめしたいです。
その迷いは、自分が変わっていく初めの一歩なのかもしれないので。
この記事が、同じように悩んでいる方の何かのお力になれたら幸いです。